動き過ぎてはいけない
動き過ぎないこと―
ドゥルーズのこの節約は、おそらくは表層と深層のあいだにあって、
「脱領土化」そのものを「領土」とするという、パラドエコノミー
クスの家政を願っている。
ドゥルーズは「私は 知識人ではない」と正していた。
彼によれば「知識人」とは「どんなことにでも意見を持っている 人々」なのだが、「実に望ましい」のはむしろ「あ れこれの論点についてどんな意見も見解も持た ない」ことである。
だから私たちは、しばしば嘆 かれるように「コミュニケーションの不足」に苦しんでいるのではない。
逆に「意見」の表明を 無理強いするような圧力にこそ、苦しめられる のだ。
ゆえにドゥルーズは「旅行」を好まないという。