お前たちは力を愛し崇拝している。
なぜか?
思索する心には明白なことだが、
このような欲望は本質的には無益なものであり、
またそうならざるをえないのだ。
なぜなら、
おまえたちのうちだれかが、
物質的大宇宙全体を支配できたとしても
それが何の役にたつのか?
何もなりはしない。
何かうるところがあるだろうか?
何もありはしない。
達成の満足さえ得られはしない。
なぜなら、そうした欲望は飽くことを知らないからだ。
それはみずからにもどり、
みずからを餌にして増大するのだ。
わたしは事実として告げるが、
無限であると同時に有限であり、
飽くことがないと同時に自足する力がただ一つだけある。
その力は永遠ではあるが、
かならずそれの所有者に、
その為に費やされた努力に正確に対応する真の達成の真の満足をもたらすのだ。
その力とは心の力である。
おまえたちはきわめて未発達で、
またその方向があやまっているから、
このことがいかにして行われうるかを理解出来ない。
しかしもしおまえたちのうちだれかが一個の事実に対して
または小石、種、植物、その他の生物のような小さな対象に対して、
たとえおまえたちの百年程の寿命のうち短期間であっても、
心を集中するならば、
このことの真相を理解しはじめるだろう。
http://www.gutenberg21.co.jp/lensman2.htm