ひとつの詩を創る断想の過程



庭の茱萸の木に蜜蜂が二羽

蝶々は 結球を解き
日差し の色が変わった
光 を目指して立つ
蕾 から
花 になった
冬 の遺した
時間 を飛ぶ

昔農夫は虫を嫌ったことがある

戦争の始まらない5月
私たち現代百姓は
心ない心を持つ虫たちに
感情を寄せる

私たちは感情的になり
虫、鳥、獣
総ての原点である
水を取り戻そうと誓う
さも悲しんでいるかのように

新宿での大きな抗議の場で
詩人は言った
「デモ隊の諸君
君たちは路上の花だ」と

冬 の乾いた土に
長い 雨が降り
雪 の溶けた
水 が
流れる 前の畑
筍 はまだ見ぬ時節
枯れた 冬の草の間からは
一年で一番小さな
まあるい葉が出る頃

ショウジョウバカマが
一輪
一輪
違った色で
咲いている

私たちは花か
ならば感情を捨て
螺旋のみを意識して
逝かなければならない
ならないすら捨て
螺旋に成りたい

2014年の年末に
パン屋が呟いた
「Poetry Readingの民主化を」

また、別のパン屋は
私のやっていることは
「生活革命」だと言った

髪の長い長男が
生まれて間もない頃
番号で振り分けられた
エフ
と呼ばれる施設が爆発した

情報 飛び散った放射能を
なるべく摂取しない方法や
味噌や梅干しを作る生き方などの
情報を躍起になって集めた

行動 街へ繰り出しdrumと踊り
または田圃から祈り
原子力発電所や公民館を占拠し
選挙に出る友人を応援したりした

感情 今は感情が知りたい
情報、行動 の後の感情

Poetry Reading ノ 民主花 
にはとてもよい時節だ

話を自然に戻そう

政府は
何を恐れているのか

いや、新世界秩序となった
システムは
何を恐れているのか

それは
自然による
精神覚醒作用である

確かに棚に並ぶ味噌、や梅、は
二人目の子供が生まれ
より山に近い場所へ越して過ごす間に
次第に薬効が増している

人間味を取り戻している

だがその前に覚醒しなければならない
私たちが耕すはるか前から
稲や麦は姿を変えながら
感情なく
そこかしこに生息していた
息も潜めず

私たちは
媒介に過ぎない

茱萸の木に集った二羽の蜂は
茱萸の花の蜜を求めている
茱萸の木に咲いた無数の花は
蜜蜂の習慣により
花粉が運ばること
を期待もしていない
必ずそうなる
という
螺旋の中で生きている


信号待ちに
ふいに見上げた
古いマンションの
ベランダに
関節のイカれた
ロボットみたいな
造作の植物と
おだやかな配色の
クッションの埃をはたく
女性の姿がある、のは
右から4番目
左から4番目
下から4番目
上から4番目、の部屋

赤色 の旗、はふらず
白色 の旗、だけを
懸命に降り続ける
肥えた警備員

白い光
白い風
つつまれろつつまれろ
と、白い鍵盤だけを
叩く

「生活革命」はなにも
農耕を、選択を、
意味しているものではない

稲や麦の媒介をなった私たちは
感情を持つ厄介な虫に過ぎない
覚醒した意識の中では
それはvortex

土に種を放り込み水で練る
千切って丸めて天日に干し
固くなった団子を
田に蒔く

私の泥団子による米創りは
非暴力直接行動なのである
これは革命なのである
システムに
泥団子を投じるのである
奴らに頼らず
米を食うのである

散蒔いた種籾で
鳥を養うのと
僅かばかりの米で
子を養うのと
あまり変わりはない

腹を減らした雛鳥に
あくせく親鳥が餌を運ぶかというと
そうではないらしい
雛鳥たちに故意に
空腹を感じさせるらしい
わざわざ餌を与えぬのは
食欲を痛感させ
飛ぶことを覚えさせるという

総ての物事が関連している
関連していると捉え
自らの暗示にかかり
かかった暗示にとらわれないように
暗示をかけ
自らが自らに創られていく
水から創られていく
体内とか大地とかは
水から出来ているのであるといい
水さえ美しければ
問題は総て解決するような顔をする
地球は滅びない

地球が滅びるのを
望まない

この国の原子力発電が
総て停まるまで切るまい、と
祈りを込められた
長男の髪は
政府の曖昧な態度のおかげで
総て停止している今もなお
長い


4番目の女も
白い旗の警備員も
偶然見かけた
一生出会うことのない
彼らは
もはや誰かの中の世界の人々
そうしたところで
誰かも誰かの世界の人々
円になり
手を繋ぎ
抱き合う
白い風の中で

ミクロに生きる植物のなかの
世界も現実社会で

ここ何日かの
霧に
路に迷う

花びらは透明か
私たちは透明か 

胞子、
薇が顔をだした
雄株が一足はやく
胞子を飛ばす
食するのは雌株
雄株を刈ると胞子が飛ばず
子孫が絶える
私たちは今年の春も
胞子、
飛ばしているか?


被曝せぬよう
戦争に加担せぬように
生きてゆくことを
宣言したか?

胞子、
飛ばしているか?

夢 をみている 
散る 覚悟で
咲く のか
感情 のない
無数 の花びらのように
生きている
しかしそれも
美しい と感じる
無数 

はらへった
この街 では
戦争に加担せぬ食糧は
あるのかね

うちにかえろう
この国 には
戦争に加担せぬ移動手段は
あるのかね

その自動車に積んだ
speakerから流れる言葉は
感情かね?
情報かね?
なんなんだねきみたちは

くるっておるのかね
そんなにおおきなこえをだして 

姫の踊り子草にまで
蜜蜂が舞う
こんなに小さな花に

媒介である
私たちは
花を増やさねば
成らないのだ
せっせと花粉を

はこぼう