戦争論 坂口安吾

戦争は終った。永遠に。我々に残された道は、建設のみである。昔ながらのものに復旧することを正義としてはならないのだ。こりることを知らねばならぬ。常に努力と工夫をもち、理想に向って、徐々に、正確に、めいめいの時代をより良いものとしなければならない。
 私はくりかえして云う。戦争の果した効能は偉大であった。そして、戦争が未来に於て果すであろう効能も、偉大である。即ち、世界単一国家と、家の制度に代る新秩序の発生。
 すでに戦争の終った今日、我々は戦争が未来に果すであろう役割を、平和な手段によって、徐々に、正確に、実現してゆかなければならないのである。








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戦争は人類に多くの利益をもたらしてくれた。それによって、民族や文化の交流も行われ、インドの因明いんみょうがアリストテレスの論理学となり、スピロヘーテンパリーダと共にタバコが大西洋を渡って、やがて全世界を侵略し、兵器の考案にうながされて、科学と文明の進歩はすゝみ、ついに今日、人間は原子エネルギーを支配するに至ったのである