20161018

10.14 ツマグロヒョウモンのメス

 
躰から
羽の途中までは黄金色で
先端にかけては
黒と白の揚羽模様をした
黒いdotを纏った
美しい蝶々が
収穫したての
牛蒡の葉に
ジッとしていて
 
声をかけても
つまみ上げても
モゾモゾと動くだけで
羽ばたくこともなく
ソッと暮らしている
 
2時間後
 
午前8時
まだそのあたりをウロウロと
歩いている蝶々
 
と、突然ブルブルブルブル
ぶるぶるぶるぶる、と
触覚から尾や羽根までを
震わせ
身悶えしはじめた
 
僕らは
寿命が尽きたのだろうと
空へ見送る
心の準備をした、し
もう寿命だな、と
実際声にも出した
 
その時
山裾の松林の上から
朝陽がさした
 
蝶々は
生命力に満ち
スゥッと舞い上がり
クルクルと羽ばたいて
光のあたる
溝蕎麦の花畑へ
飛んでいった
 
生きていた
煌々と
 
朝は冷え込み
穏やかな太陽の光が
ありがたい季節に
なってきた
 

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