風なしでは高く飛べぬ鳥

シャッシャッと米を洗い 
ギュッギュッと糠床を廻して 
トントンと野菜を刻んで 
コトコトと煮込んで味噌を入れる
暮らす
火を焚く
その日暮らし
米を炊いて 
茶を沸かす 
珈琲を淹れる 
昨晩炊いた大根を温め直す 
部屋が温もる
雨戸を開けて 
日が昇り始める
枇杷の木 
柿の木 
茱萸の木 
蜜柑の木 
猿梨の木 
光差し込み輝く
尉鶲が鳴き始める
雀が囀る
新しい糠と塩と野菜 
浅い糠漬けを糠ごと食べる
国家国家と鳴く鳥はもう渡ったか
叛逆の朝飯を食べ 
山を登り
果樹の苗を植える 
やがて樹は生長し 
子が子を産む頃 
豊かな実をつける 
3世代に渡る
革命の狼煙
焚火の煙に巻かれて 
国家国家と鳴く鳥が 
旋回する 
山桜が蕾み 
山塔が咲く
ramaの歌声は 
朽ちた身体と共に 
土に還る
火 
煙 
土 
繰り返す穏やかな暮らし
義務を棄て 
焼いてしまえ 
即ち 
自由だ
灰になった義務は 
暖かくなり始めた 
表土から 
無数の野花を咲かせる
名前の知らない花花 
本能のままに咲き 
種や根を遺し 
あるいは風に運ばれ 
虫に助けられ 
繁栄を夢見る 
もしくは 
このままであることを 
願う
風なしでは 
高く飛べぬ鳥よ