20260513

浸水していた種籾から、
小さな芽と根が動き始めました。

立夏に入り、
山の水が少しずつぬるみはじめました。

旧暦では夏の入口。
七十二候では「蚯蚓出(みみずいづる)」。

土の中では、
微生物やミミズが動き出し、
土壌呼吸や有機物分解も活発になり始めます。

水路の流量は安定し、
畦は締まり、
草は一気に伸長を始め、
流域全体が春から夏へ切り替わり始める季節です。

えんどうは開花を増やし、
とうもろこしは活着しながら根域を広げ、
夏野菜の定植が進み、
田んぼでは入水と種籾播種の準備。

春野菜の収穫と、
夏作への土づくりと、
稲作の始まりが、
全部同時に重なってきます。

昔の農暦が、
この時期を「水を見る季節」としていた理由が、
毎年よく分かります。

雨のあとには水路を見に行き、
草が伸びれば刈り、
畦が崩れれば直し、
苗が動き始めれば植え付ける。

山の季節が一段進むたびに、
こちらも少し遅れながら追いかけています。

ちなみに「多忙」という漢字は、
「心を亡くす」と書く「忙」に、
さらに「多」が重なった言葉です。

昔から、
忙しすぎると人は季節を見失う、
という感覚があったのかもしれません。

けれど農作業をしていると、
不思議と逆で、
手は止まらないのに、
季節の変化だけは、
むしろ細かく見えるような気がします。