6月後半は、ぼちぼち田植えをしていました。
よくある「今日が田植えです」という日は設けてませんが気が向いたら稲を植え、草を引き、畔豆をまき、刈った草を株元へ戻し、水を引いたり抜いたり。
そんなことを繰り返しているうちに、いつの間にか田んぼらしい景色になっていきます。棚田は、一枚の田んぼだけでは成り立ちません。
山から湧いた水が一番上の田んぼへ入り、そこから次の田んぼ、そのまた次へと流れ、何枚もの田んぼを潤しながら谷へ戻っていきます。
その流れの中で、水生昆虫やカエル、ヤゴなどが暮らし、夕方になるとカモやサギが餌を探しにやってきます。
畔ではバッタやクモが増え、それをモズやセキレイが食べます。
夜になるとカエルの大合唱が始まり、その声を頼りにヘビやフクロウが活動を始めます。
棚田は稲だけを育てる場所ではなく、小さな命が何層にもつながる生態系そのものです。
だから草を一本刈ることも、水位を数センチ変えることも、稲だけではなく、その田んぼ全体に暮らす生きものへ影響します。
棚田の田植えには「今日で終わり」という日がありません。
気づけば稲が根付き、トンボが増え、ツバメが低く飛び始める。
そして秋には、そのすべての営みを受け取るように稲穂が黄金色になればいいなあと希望します。
棚田とは、稲を育てる場所というより、水と人と生きものが一緒に季節を過ごす場所なのだと思っています。
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